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2018年11月

2018年11月20日 (火曜日)

ネコのお墨付き。(後日談付き)

建築に携わっている人はみんなそうですが、

僕もご他聞にもれず現場が好きです。
 
特に好きなタイミングがいくつかあって、
 
そのひとつが建て方の直前です。
 
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この「在府町の家」では、
 
基礎のコンクリート工事が一段落して、骨組みを
 
組み上げる前、足場が設置されているところ。
 
なんというか、いよいよ立体的になっていく感じが
 
テンションが上がるんです。
 
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アプローチの感じや、中庭の大きさをイメージしつつ
 
うろうろ散策していると、そこにそれはあったのです。。
 
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上の写真の、ほぼ中央に。
 
ちょうどリビングの真下、床下の土間コンに、
 
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ネコの足跡が!
 
 
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現場に人がいない養生期間の隙に、
 
とっとっとっ、と。。。
 
聞くところによると、猫は居心地の良い居場所を
 
見つける達人だとか。
 
それがちょうどリビングの真下にあって、中庭方向へ
 
向かっているじゃありませんか!
 
なんだか早くもネコさんからGOOD!の
 
お墨付きをもらったようで嬉しかったんです。
 
 
床下で隠れちゃう部分だし、
 
「これ、このまま残しておきませんか?」
 
って今度建て主さんに訊いてみよう。
 
補修は簡単だけど、なんだかもったいないような。
 
だって、中々もらえないですよね?
 
ネコのお墨付き。。
 
 
 
↓後日談
 
後日お打合せで建て主さんとお話したところ、
 
面白いから残そう!という運びになりました!
 
さらにこの足跡を見て、
 
僕たち家族も家のどこかに手形とか残そうかな?
 
という楽しい流れになりました。
 
ネコさん、お礼が言いたいので工事中ひょっこり
 
現れてくれませんか?
 
 
葛西 瑞都

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「Lamp House」 まちに開かれた大きな軒下。

これから工事が始まるプロジェクトのひとつに、

 
青森市の浪岡に建つ
 
ヘアサロン併用住宅「Lamp House」があります。
 
 
元々建て主の奥様が近所で営んでいた
 
ヘアサロンを、今回新たな住まいと併せて
 
つくることになりました。
 
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この建物には、幅6.8m×奥行6.3m、高さが7mくらいの
 
大きな がらんどう(空っぽ) の空間があります。
 
南側の前面道路に開かれたこの空間は、
 
まちと共有する余白です。
 
建物の外観が目に入ったときに、
 
そびえ立つ壁面が街並みを圧迫するのではなく、
 
自然に視線が抜けるような軽やかなものに
 
なるようにと考えました。
 
夜にはがらんどうに明かりが灯って、
 
店名の示すように大きなランプの様相に。
 
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多くの場合、建物の内部に吹抜け空間を
 
つくるときにはなるべく梁などの構造部材を
 
減らして、すっきりシンプルにつくりたいものです。
 
でもこの「Lamp House」では、
 
まるでそこに床や壁や天井をつくるかのように、
 
たくさんの柱や梁が現しになっています。
 
この巨大なジャングルジムの様な構造体によって、
 
300立方メートル近い容積の大空間は
 
親密で明確なスケール感で連続する、
 
あたらしい住空間になります。
 
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この軒下空間は、壁も天井も木製の仕上げ。
 
まるでまだ途中のような、未完成のような
 
不思議な仕上がりになると良いなぁ。
 
複雑な陰影が床や壁に投影される様子を
 
目撃するのも楽しみです。
 
 
 
このたくさんの構造体は住まい手の新たな
 
アイディアもたくさん引き受けてくれる予感が
 
していて、ブランコやハンモックを吊るせたり
 
するのはもちろん、後で簡単に床を増やして
 
居場所をつくったりする楽しみもあります。
 
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リビングには、南面の巨大な開口からの日光が
 
構造体によって少しだけ遮蔽、反射して、
 
柔らかな光となって届きます。
 
 
 
多分、この住まいは時間や季節の移ろいを
 
光や影の状態としてドラマチックに
 
感じられるんだろうなぁと妄想しながら、
 
せっせと図面を描いてます。
 
 
葛西 瑞都
 
 
 
 
 
 
 

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2018年11月 3日 (土曜日)

LITTLE NOOKの完成写真と、バックグラウンドのこと。(長文です)

LITTLE NOOKの完成写真ができました!

 
今回は写真と併せてこの建物ができるまでの
 
バックグラウンドについて、あと、
 
僕が考えるコミュニケーションについて
 
文字にしてみたいと思います。
 
Little_nook_1
 
LITTLE NOOKの建て主さんご夫婦
 
と初めて出会ったのは、資料を見直してみると
 
なんと2年半前!
 
出会ってから建物が出来るまで
 
2年以上かかるのは当社の場合は
 
特に珍しくありませんが、
 
僕の体感では1年ちょっとくらいに感じるほど
 
あっという間の楽しい時間でした。
 
Little_nook_2
 
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実ははじめ、この計画は新築ではありませんでした。
 
この土地からもう少し山の上に上がった場所の、
 
中古のロッジを改修してお店にする予定が、
 
突然その物件の売り主さんの気が変わって
 
売買不可に。
 
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ふりだしの状態から、既存の古い建物が残っていた
 
この敷地に出会いました。
 
元々改修工事の予定だった計画が新築工事に
 
変わったので予算的にも厳しかったけれど、
 
設計を進めて打合せを重ねるたびに
 
新築ならではの自由さや新しいアイディアが
 
生まれてきて、毎回僕も建て主さんもとても
 
楽しみながら考えました。
 
Little_nook_6
 
設計当初から、弘前市の建築部門の担当の方とも
 
打合せを重ねていました。というのも、
 
この敷地がある地域は市街化調整区域といって
 
建築の計画自体に制限が掛かっていて、
 
その建築が許可されている項目の中に
 
「住居と一体となった喫茶店」の項目は
 
ありませんでした。しかも今回はドッグカフェ。
 
前例が無い建築を建てる場合、市ではなく
 
県の建築許可が必要になります。
 
このプロジェクトは建築審査会という会議に
 
かけられて、この地域にとって問題がない
 
建物かどうかを審議されることに。。。
 
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大量の書類や図面とともに、事業計画書も作成して提出。
 
通常の事業計画書といえば、銀行からお金を借りたい
 
事業者がその事業の経営方針をプレゼンしますが、
 
今回の計画書は審査会の方々にドッグカフェとは何かを
 
説明することが重要でした。
 
多分、皆さんはドッグカフェって何?がスタートライン。
 
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2018年の年末年始はこの審査会のために
 
一生懸命でした。
 
窓口役だった市の担当者も
 
付き合っているうちにいつの間にか
 
ノリノリになってくれて、
 
「この書類のこの部分はこう書いたほうが
 
お年寄り受けがいいですよ!多分!
 
といった感じに。
 
そんなこんなで無事、県から建築許可が
 
受理されて、工事が始まったのでした。
 
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僕はいつも、コミュニケーションについて
 
考えています。
 
多分、良い建築をつくることと
 
良いコミュニケーションが生まれていることとは
 
密接に関係していると思います。
 
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初めて建て主さんと出会ってから、
 
建て主さんが本当に望んでいる
 
生活像を見つけ出すこと。
 
 
 
それを建築にする方法を、
 
僕が考えたことについて
 
図面やスケッチや模型で説明すること。
 
 
 
打合せを繰り返して調整していくこと。
 
 
 
今回の様に、市や県の職員さんに
 
プロジェクトの信頼性や魅力について
 
理解してもらうこと。
 
 
工事が始まったら、現場の職人さんに
 
実現したいことを伝えること。
 
 
 
現場の近隣の方々に、工事中ご迷惑を
 
お掛けすることをお話しすること。
 
 
 
全てのタイミングで、建て主さんの要望や
 
新しいアイディアにアンテナを張ること。
 
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関わる人達みんなとの間に
 
良いコミュニケーションが生まれると、
 
いつの間にか全員がそのプロジェクトの
 
応援団になってくれる気がしています。
 
 
そうやって生まれた建築は、
 
デザインとか、
 
贅沢にお金が掛かっているかとか、
 
そんなこととは無関係に
 
みんなに愛される建築に
 
なっていくんだと思います。
 
 
 
そしてこの小さな喫茶店では、
 
近隣に住んでいる人、
 
県外、外国からの観光客、
 
犬を飼っている人、飼っていない人、
 
様々な人々による
 
様々な新しいコミュニケーションが
 
日々生まれています。。
 
Little_nook_19
 
以上、長々と書いてしまいました。。。
 
ところで皆さん、完成写真のあまりの素敵さに
 
文章どころではなかったのでは
 
ないでしょうか?
 
実は今回、LITTLE NOOK のオーナーさん
 
自らに撮影していただきました!
 
というのも、オーナーさんの前職はカメラマン。
 
自分のお気に入りの建物を、自分の経験を
 
活かして撮影された写真なんです。
 
最後にオマケで、2階の住宅部分のキッチン。
 
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これからLITTLE NOOK は初めての冬を迎えます。
 
薪ストーブにも火が入って、
 
ますますコーヒーとケーキが美味しくなる。。。
 
ぜひみなさん、冬にも、春にも夏にも秋にも
 
足を運んで頂けると嬉しいです!
 
 
葛西 瑞都

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