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2019年3月23日 (土曜日)

古さと新しさについて。

気がつくともう3月!
とても久しぶりのブログになりました。
そしてそのせいか、とても長文です。。。


さて突然ですが、これまで弘前市早稲田で
営業しておりましたギャラリーが、
今年の5月に移転いたします!
早稲田の事務所に来たことがある方は
わかると思いますが、結構手狭だったのです。
模型がたくさんなので。。

ということで、もう少し広さのある所へ
引っ越します。
場所は弘前市の上瓦ヶ町。
土手町のすぐそばにある
「SPACE DENEGA」という建物の一画。
この建物は築30数年の古い平屋のRC造で、
全面レンガ張りの外観です。

Gaikan

建築当時から様々な展示会やイベントも行われる
多目的な用途で、
弘前市民から愛されてきた建物です。
市街地のど真ん中にありながら、
平屋で大きな中庭があったりする。

ふつうこういう立地だと、
容積率いっぱいまで内部にして家賃収入を
算段しそうなものなのに、、、これは良い。。。

すでにブライダルパーティーを企画している
レストランがお隣で営業していて、
空いていたもう一つの部屋が僕達のスペース。

Before

不動産屋さんと一緒に見学したところ、
30数年間の古さが感じられる空間でした。
壁はRC打放しの素地のまま。
天井はそのコンクリートに塗装だけ。
床はウッドデッキ。
がらんどうの空間。。。

ここを仕事場にしていく。



建築をつくりだすときに、「古い」という
ことはネガティブに捉えられがちです。
でも、経年変化や日焼けで色が変わった
床板も、キズや小さな穴や黒ずみのある
壁面も、天井も、窓も、
とても良い雰囲気なのです。
そしてそのどれも、新しくつくり出す事は
できません。
いくらお金を掛けても、
いくら労力を尽くしてもつくれない。

だから、この古い雰囲気は
できるだけ残したいと思いました。
既存のものにはあまり手を掛けないで、
家具や什器、最低限の間仕切りだけで
居場所をつくっていく事にしました。

とりあえずは既存の模型を正確につくってみる。

Mokei-0_1

Mokei-1

いつも通り1/20の縮尺の大きな模型と、
パソコンのディスプレイ、
両方を眺めながら考えていきます。
新しい仕事場で叶えたいポイントは、
・模型の展示スペースの拡大
・打合せスペースの拡大
・模型製作スペースの確保
・ゆったりしたデスクスペース
・大きな本棚
おおまかにはこんな感じです。


ディスプレイ上でのゾーニングプランは
割とスムーズにできましたが、
そこで手が止まってしまいました。
構成する材料をどうするか、を考えると、
どうにもしっくりこないのです。

Plan
既存の古い空間に、新しい材料でつくった
家具や棚を並べても、どうにも合わない。
つくる家具をサイズダウンして、
なるべく目立たなくしたりするのも違う。
なんというか、仲が悪いものをムリヤリ
隣り合わせにしているような不自然さ。


元々の古いものと、
新たに持ち込むものが自然に
一体的に調和していると
いいんだけどなぁ~と
モンモンとしていたのですが、
ある時に
「新たに持ち込む物も
 古い材料でつくろう!」
と閃きました。
同じくらい年月を重ねた材料を
使うことで、
はじめからこの場所に馴染んでいる、
古くて新しい空間ができると思いました。


ワクワクしながら材料探しを
始めたのですが、
またすぐに行き詰まってしまいました。
古い材料って中々見つからないんですね。
インターネットで検索すると、
古民家を解体した時の材木は
目に入るのですが、
なんだかでかくて立派な一点ものばかり。
選択肢の不自由さを感じました。


またモンモン。
そんなある日、
会社の年間スケジュールを眺めていると
兄の瑞樹が担当している青森市の住宅の
建て替え工事があることを
思い出しました。 
建て替えなので、
元々そこにあった建物は解体されるわけで。
築40年あまりの木造の旧宅。
このお家の構造に使われていた材木を
利用することを思いつきました。

解体工事の途中で現場に入り、
骨組みの状態を注意深く観察しながら、
スーパーマーケットで買い物をするような
気軽さで材木を選んで、切り出す。
キズや欠き込み、割れ、変色、当時の
大工さんのメモ、落書き。
普段であれば欠点である要素が、
今回はそのまま空間を構成する要素になる。

建て主さんからも了承をいただいて、
4月に解体工事が始まります!


さてそうなると、つくるもののイメージが
具体的になってきます。
方向性が決まっている部分をご紹介します。
今回は大きな本棚について。

Book-shelf

部屋の突き当たり。
家具のように面を組み合わせて
ハコをつくるのではなく、
古材の梁を奥行きに合わせてカットして
適当に並べ、その上に棚板を載せていく。

既存の壁面を隠さないよう背板は無し。
高さ方向(梁せい)をランダムにすることで
収納する本のサイズに合わせています。
ところどころ棚板を抜いた2層の吹き抜けは、
植物や雑貨を置くところ。

古い梁の断面と
古いコンクリートの壁面と
置かれる物。
みんなが等価に見えるよう検討しています。

また、上部に置いた物の荷重は
複雑なあみだくじの様に下部に伝わります。
あるところは荷重が集中するし、
あるところはシーソーの相手側みたいに
浮き上がろうとする。
元々構造材だった梁材を、
新たな構造材として機能させて設計します。
写真ではわかりにくいですが
この本棚の大きさは
W4.3m、H2.7m程もあります。
僕達の身体スケールではなく、
元からあった壁の大きさに合わせます。

今のところ、一応細かく梁の寸法を
想定していますが、解体当日にならないと
使える部材寸法はわかりません。
思い通りの部材が見つかれば嬉しいし、
見つからなくても、
どうやって実現していくか考えるのは楽しい。
今は組み上げるルールだけを決めておきます。

- 今回はここまで。
現在進行中で、色々なことを思案中です。
この本棚の他にも、作業机や打合せテーブル、
ベンチや模型棚、、、つくるものは様々ですが、
その様々なものが既存の部分と自然にある。
そんな感じを目指しています!

葛西 瑞都

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